のんびりライフの鳩日記

日常の、あれこれ感じたことなどをつづります。(不定期更新)

久しぶりのお勉強

 1月最初の週末は、世の中的には連休ですが、私は昨年8月から申し込んでいた研修に参加している。3日間とも研修で、とくに2日目は朝9時から夜6時半過ぎまでのスケジュールのため、朝7時半に家を出て、帰りは夜の8時半。日帰りと言えども長く家を空けるため、わんこをホテルに預けての学びの時間なのである。

 それだけ時間とお金をかけて、今回学んでいるのは、以前にもちょっとブログに書いた「動機づけ面接(Motivational Interviewing,MI)」である。
 これはそもそも、薬物中毒の方などが、自分が変わりたい方向を見いだし、そちらに変わっていくことを支援していく手法として編み出されたものである。とくに「やめたいけど、止められない」、「そうしたいと思いはするけど、なかなかそうできない」など、両価性のもとで変化できずにいる人に対して、その人がより強く望む方に、方向付けしていくことに効果を発揮する。

 なぜこれに私が興味を持ったかというと、常日頃私が悩んでいる、面談のスキル上の課題に対する、より良い対応のヒントを得られるのではないかと思ったからだ。正直、面談の抽象的な目的や構造はある程度理解しているつもりでも、具体的に、じゃぁこんになふうに困った時にどうしたらいいの?というのが、正直、経験を積み重ねて手探りで試行錯誤してくるしか方法がなかった。私が、データの客観的な積み重ねと振り返り、さらには創意工夫のアイディアを地道に蓄積して改善策を構築できるだけの余力と能力と精神力があればよかったのだが、対人業務というだけで感情的な困難度が増してしまうのだ。
 てなわけで、ある種、悩んでいるだけの堂々巡りを繰り返しており、そもそも、理想的な姿がどういうものかわからない〜!となっていた。

 そこが、動機づけ面接では、エビデンスに基づいて「うまくいく手法」を整理し、そのやり方のスキルを身に着けることが推奨されているのである。
 あ〜〜〜、私の失敗は、これこれ!!とか、
 どうもうまく行ってないと思ってたけど、やっぱり!
 でも、こうすればよかったのね。うすうす、そうかなと思ってたけど、確信が持てたよ!
 などなどが続出なのであった。

 具体的にはまず、「正したい反射」を使うということ。違うと思うことを言われると、思わず正したくなるのが人間の性。でもそれを、自分の方が反射してしまっていることの方が私は圧倒的におおかった。そうではなく、クライエントの反射を活用して、クライエントに自分の方向性を明確化してもらうことに役立てる。
 また、「簡単な伝え返しと複雑な伝え返し」のそれぞれの効果を意識することで、より自分のかかわりの影響を詳細に点検しながら関係構築の実現を目指す。これによって、それまで漠然とした感覚的様相でしかなかった「受容」が、もっと明確な手ごたえを感じられるものに変わる気がする。
 さらに、CLの行き来が変わりつつあることを察知した段階で、チェンジトークを見極め、それを使った本人の動機づけに着実に進むための、こちら側の手順がクリアになったこと。
 この本人の価値観や意思の明確化は、常に私が意識してやりたいと思ってきたけれど、いまいっぽ、どうするのがいいのかの方法がくりあではなく、なし崩し的に、今あなたはこう言ったよ、いったよ?!みたいな展開になりがちだったのだ。
 
 そんなこんなで、とってもクリアにエビデンスを用いて、スキルとしてどうするとよいか、それをどんな目的の下に使うか、使うとどういう結果になるか、といったを感覚的な直感とか、その人のセンスとかの「暗黙知」から解放してくれた感じなのだ。

 それに加えて今回感動したのが、お弁当やおやつやジュースがたーっぷり用意されていたり、研修前の準備で、参加者の理解度や困っていることの事前調査がしっかりされていたり、気分を和らげるための遊び道具(モールを置いたり)があったり、その他研修の効果を十二分に高めるための工夫と参加者へのおもてなしが随所に凝らされているということである。
 なにしろ、初日、1日のスケジュールが終わった後に、夕飯のお弁当が出るのだ。帰る前のお弁当って、初めての体験である。
 また飲み物もふんだんにあり、ペットボトルまるごと取り放題で、好きなだけ飲める。また2日目は、全スケジュールが終わった後に「軽食」として、お土産にもなるおやつが配られた。
 お弁当も安っぽくないきちんとした献立のもので、お医者さんたちの標準はこうなのねーというのを思い知らされた。

 そう、この研究では、医療従事者が中心的な印象で、その分、これまで私が出てきた研修とは少し雰囲気が違う。これまでは、カウンセリングを漠然とした感覚的、抽象的、概念的なもののままとらえる印象を強く受けてきたけれど(そして、そのせいで私がどれだけモヤモヤに苦しんだか)、今回の研修では行動療法の考えもベースにあるせいか、科学的なスタンスでエビデンスがどうか、どういう言語的表現や反応や対応が、どういう結果を生むかという因果関係を明確に整理しようというスタンスがある。なんとなく曖昧模糊としたまま置き去りにされるということが、実に少ない。
 仮にも理系だった私には、すっきりすることこの上ない。さらに、クリアにするために議論を繰り広げること自体を煙たがる姿勢が、トレーナーの人には全くないところも、いい。というか、トレーナーたちが、互いに意見の違いを表明し合いながら、自分はこういう見方、こういうスタンス、とクリアにしていってくれるので、細かいことも追及していいんだ、と思えるのも私には嬉しかった。

 というわけで、今の気持ちとしては、ぜひこの技法を身に着け、自分の物になるよう磨き上げたい思いでいっぱいである。
 今回学んだことをまとめると、スピリットと技法、それぞれがともに大事。
 スキルはいろいろあるからまとめきれないけれども、スピリットにおいては、相手がどういう感情、背景でこれを語っているのかというのを見ようとし続ける、「メタレベルの視点」がポイントなのだということ。
 それは、別の言葉で言うと、どんな信念を大事にしているか、ということを決める価値(Value)を見ていくうえでは、自分自身が、相手の存在そのものを大事にする(Worth)視点をつねに保持し続けるということを、大事にしていきたいと、強く思うのであった。
 (これは、実際に何度も思ってきたことだけれども。たとえば、「それでも相手は自分の力でやりおおせてきた、その相手の力を信じる」とかとも同義なんだけどね。)