仕事帰り、家の近くのスーパーに寄った。駅前で、つやつやと光る、みたらし団子を見たら、そのあと無性に少量のお団子が欲しくなり入店したのであった。
スーパーの店頭には、ぺヤングのたこ焼き味とか、ジャガイモとさけのチーズ味とか、塩ガーリック味とか、夜のぺヤング(マカ入り)とか、ずいぶん攻めているフレーバーが並んでいた。つくづくと眺め、2つほどの変わりフレーバーを買い物カゴに放り込んだ。
店を一巡して、お総菜コーナーへたどり着く。ソラマメとむきえびのつまみ揚げか、イカリングフライか。どちらを買おうか迷いながら、ふと自分のカゴを振り返る。
買い物カゴには、変わりフレーバーのぺヤング2種類、バナナ、豆大福が入っていた。
おお、これではまるで、独身おっさんと男子高校生のあいのこ(?)のようなラインナップではないか。
その上、私ったら、イカリング?
いい年をした女性がこれで、恥ずかしくないか?
どこからともなく、無意識の世間的非難の声が聞こえる。。。
そのとき、同じく仕事帰りらしき同年代の女性が目の前を通り過ぎ、カゴの中身が目に飛び込んできた。
ぺヤングのイカだし味と、パックお総菜の白和え(私が以前よく購入)、そしてノンアルコールビール(私が一時期はまっていた)。
あや!、なんと私と好みが一緒!!
顔まで似ていたらどうましょう?と思って、思わず横顔を確認した。
当然ながら別人だった。
しかし1人暮らしのアラフィフ女性で気ままに不健康な食生活を送っているのは、私だけではない。
気を良くして、ルンルンと鼻歌を歌いながら(心の中で)レジに向かった。
夕方でレジは、どれも混んでいる。そこで、私はテキパキと仕事が早い、若い女性のアルバイトのレジの列についた。すると、私のすぐ前のおばちゃんが、同じ人数が並んでいる自分の列と隣の列を交互に見比べ、どちらが早いかを推し量っているではないか。
しめしめ。おばちゃんが、隣のレジに移動すれば、それだけ私の番が早く回ってくるというものである。
おばちゃんがカートをそろそろと動かしかけたのを見て、私は、行け行け!、と心で叫んだ。
すると、おばちゃんは、カートをぐいっと前に出して隣の列についた。
私は心でガッツポーズをつくった。
と同時に、心のどこかで黒い影が射すのを感じた。
おばちゃんは、気づいていない。
お隣の列は、丁寧だけど仕事がゆっくりな60代パート、Aさん、こちらは、効率的にテキパキと仕事が早い若い20代アルバイト、Kちゃんだ。
たとえこっちの先頭者が、やけに購入アイテムが多くて時間がかかっていたとしても、トータルで見たら、こちらのほうがだんぜん早い。
それを知りながら、私は、おばちゃんをけしかけた(心の中で)。
なんだか、おばちゃんを陥れたような気分になった。
お会計を終え、マイバッグを取りだしながら、背後でレジ待ちをしているおばちゃんに、ごめんよ、と謝った。
って、こんなことで、いちいち罪悪感なんか感じるような小心者だからだめなんだよ、と、ぺヤングやきそばのジャガイモと鮭のチーズ味を袋に詰めつつ、自分をさらに非難した。
私は、後ろを振り向かずに、スーパーの出口に向かった。
外は、夕方の残り日が薄く残っていた。
自分のお買い物内容に引け目を感じたり、同じ趣味の人を見つけて心湧き立ったり、人より先んじたことが罪悪感になったり。
細かいことであれこれバタバタと。
良いことも悪いことも、全てがささやかでちっぽけな、私の一日。