のんびりライフの鳩日記

日常の、あれこれ感じたことなどをつづります。(不定期更新)

生きた証とみんみんゼミ

もう、おとといのことになりますが、ソースというワークショップを受けに行きました。
ソースとは、これです。
http://www.voice-inc.co.jp/source/workshop.html
これは、自分のわくわくを探す、というもので、責任ある人生の送り方とは、
自分が一番楽しい、と思うことをやっていくことだ、というコンセプトに基づいています。
自分が好きなことをすれば、自分の能力が一番発揮できるし、
自分が好きなことをすれば、自分が楽しく満ち足りるし、
だから自分が好きなことをすれば、周りにも幸せをふりまける、
のです。


で、そのワークショップで心に残っている言葉といえば、
『生きた証』
私が生きた証って何になるんだろう?
そんなことをふと思い出させたのは、一匹のみんみんゼミでした。


わたしのお家はわりと高層なので、多分地上、50mよりは高い
ところにある。そのベランダに、今年3匹目のみんみんゼミを見つけた。
最初に気づいたのは、トビーだった。
窓に向かってクンクンいいながら、前足でガラスを引っかいている。
また、新たな虫を発見したのかと思って近寄っていくと、ガラスの外、
少しはなれたところにおなかを出してひっくりかえっているミンミンゼミの
姿があった。


私はそれまでに、ベランダで2匹のミンミンゼミの死体を見つけていた。
夏になると、こうして死んでいくセミをたびたび目にする。
こんな高いところまでセミはやって来るんだ、そう思いながら見つめていると、
セミは、ジジジジジと音を立てて痙攣したように羽ばたいた。
い、いきている。
私はティッシュを取り出し、空に返そうとそっと手を伸ばした。
手を伸ばしながら、思った。
だがしかし、この、ジジジジジジと羽ばたきつづけるセミを、
この私が捕まえられるんだろうか・・・?
不安がこころをよぎるのを感じながら勇気を出してセミに触れると、案の定、セミ
じじじじじじじ!
きゃー、こわいよ〜〜〜〜。
私の恐怖が通じたのか、部屋の中からトビーも前足でかりかりかりかりし続ける。
でも仰向け状態からちゃんと立ち直ったセミは、私がもう一度手を伸ばしたとき、
再び音を立てて飛び上がり、そして、羽ばたき音は小さくなってふっと消えた。
自分の力で飛んでいったのだ。


生きててくれてよかった。
そして自力で出てってくれてよかった。
でも多分せみは、家のすぐ横にある公園かどこかに
着地し、そしてそこでまもなく短い生を終えるのだろう。
それでも、こんな水も土もないベランダでからからに干からびてゴミ箱に
捨てられるよりも、公園の木陰の下で、ひんやりとしたやわらかな土を感じながら、
生きている仲間の蝉時雨が降り注ぐなかで朽ち果てていくほうが、
まだ少しはよかったかもしれない。


ベランダで死んでも木陰で死んでも、生きた証は平等に変わらない。
蝉の生は同じ変わらぬ価値を持つ。
そう思いながらも、湿った土の上で動かなくなる蝉を見るほうが、なぜか自分の心が
安らぐ気がした。
とても深いところでの生の価値は平等だと思いながら、それでも心に感じる
何かが違う。
だからそれを、もっと安らぐ何かがあるなら、それを選んでいくこともできるんだと
そう思った。


夏の終わりのミンミンゼミ。