うちには、ハウンドドッグ(に分類される犬)がいる。
その名は、トビー。
猟犬トビーが獲物に傾ける集中力と執着心には、類稀なるものがある。
とくに過去獲得したのと同じ獲物を発見したときには、
それが多少、届きそうにない空の高みにあるとしても、
不屈の精神に満ち満ちて飽くなき挑戦が繰り返される。
その確信のありようは、まるで、
マーフィーの法則はここから発見されたのか?
と思うほど。
(いや、絶対違うと思いますけど)。
不可能を可能にする精神力は、犬の生活の中にも確かに存在するのです。
そんなトビーと毎日暮らしていると、
ほんとにトビーはまじめだなぁと感心することしきりである。
犬は決してうそをつかない。
というのは、うそじゃないかと思うけれども
(人間に気付かれないようにしよう、と人間を出し抜こうとはするので)、
けれども常に真剣であることには間違いない。
どのワンコの横顔にも垣間見えるその生真面目さは、
私が「いとしい」と思う生き物の一つの大事な要素ではあるのだけれど、
でもじゃぁ人間にとっても、いつも生真面目さが大事かと言うと、
微妙に事情は違う気がする。
私は、犬には喜怒哀楽があるとは思うけれど、
きっとユーモアはない。
ユーモアは、多分、ものすごく高級な精神活動なのだ。
私の隙を窺って、
トイレのドアがいつ閉まるかを離れた場所から、体を傾けて見つめている
トビーの真剣な姿はなかなか可笑しくて笑える。
本人(トビー)にとっては可笑しくともなんともないんだろうけれど。
トビー、きみも一緒に笑えたら、一人前な私の相棒ってものだけれどね。