のんびりライフの鳩日記

日常の、あれこれ感じたことなどをつづります。(不定期更新)

交差

 先日、ふと思い立って、やらなければならない仕事を後回しにして、「万引き家族」を見に行った。

 映画館の入っているショッピングセンターに早めにつけたので、ちょっと時間つぶし&作業でもしようかなーと、カフェに入る。パソコンを広げて、パコパコとキーボードを打っていたら、ほどなくしてお隣の席に、初老のご夫婦が話しながらやってきた。
 「で、あの家族の娘は、血がつながってないの?」
 とかなんとかしゃべっているではないか。え、これってまさか!?
「あのラストが、ちょっとよく分かんなかったな」
と、おじさんがいい、
「あの映画はね、こまかい感情の機微の表現だから・・・」
とかなんとか、おばさんがいう。
そこまで聴いたらもう、私にはわかりましたよ。
ええ、映画鑑賞直前にネタバレです。

 慌ててイヤホンを耳に突っ込み、音楽を聴く私。

 映画館すぐのサンマルクカフェには、ご用心、なのであった。

 ちなみに、映画はすごーくよかった。いろんな人が言っていることだけど、本当にものすごく密度の濃い、個々のエピソードにたくさんの意味が込められている映画だった。
 そしてこれまた、色んな人が言っていることだけど、安藤サクラさんが凄い光っていた。演技がすごいというより、なんていえばいいのかしら、その在り方自体に、社会における位置づけや境遇や彼女の人生そのものや何やかやの、切なさや諦めや苦しさや、優しさも強さも希望も、色んなものがぎゅーっと詰まって、そしてあふれ出てくる感じと言えばいいのでしょうか。

 いろいろ思うところがあり、色んな見方ができるし、いろいろ考えさせられる。ただやっぱり私には、人間の希望と信頼、みたいなものは、最後まで失われないものだと思えたし、でも同時に、それはものすごく脆くて簡単に壊れてもしまうものだから、大事にしなきゃいけないんだよって、言われた気がした。