のんびりライフの鳩日記

日常の、あれこれ感じたことなどをつづります。(不定期更新)

いつだって、それは神の采配

 おとといは移動日で、今週はまたも中国地方に来ている。今日から3連休だけれど、家族が眼球の調子が悪いので、休息と片づけをメインに過ごす予定。

 代わりに、先々週末に行った倉敷の旅の思い出を噛みしめることにする。

 泊まったおやどは、市外からは少し離れた山の上にあった。部屋には大きく見晴らしの良い窓があって、いくつもの島々が浮かぶ瀬戸内海が眺められる。

相変わらずの写真の下手っぷり(泣)。

 

もう日暮れ近くで、夕闇に染まる雲海に島々が霞んでみえた。


 この眺めの良い場所に立つお宿は、建物の屋上から雄大な景色と星空が眺められた。我々が泊まった日は、残念ながら曇り空で星は見えなかったけれど、アマチュア天文家の人から少しお話を聞かせてもらえた。

 わたしが、魚座だと言ったら、うお座にまつわるギリシャ神話を少々・・・。

 うお座は、愛と美の女神、アフロディーテとその息子、エロスが魚に変身した姿と言われている。川のほとりで宴会をしていたら、いきなり怪物に襲われ、川に飛び込こみ、はぐれないようにと互いの体をリボンで結んだ。そして、この息子のエロスは、ローマ神話ではクピド―(キュービッド)と呼ばれる。

 もちろん、その由来等々を私は知っていた。けれど、ちゃんと感心しながら聞くふりをしていた。社会性ある大人なので、「いや、それは私も知っとりますわ」などとマウント取って相手のやる気をそぐようなことは言わないのである。
 でも、心の底では、「ま、わたしも占星術とか勉強してきてるからね。ちょっとやそっとのことでは驚かないんよ」と張り合う気マンマンで、じつは意外にたちが悪かった。
 しかし、アマチュア天文家さんの話は、私の予想とはやや別の方に展開した。

 このキューピッド(クピド―)は、良く知られているように、人の恋心を操る神だ。背中の矢筒に2種類の矢を持っていて、金の矢は見た相手に恋心を抱かせ、鉛の矢は相手を心底嫌いさせる。

 「昔の人は、人間の力ではどうにもならないものは、神の力によって引き起こされると信じていました。恋心や人の好悪なども、同じです。人を好きになったり嫌いになったりするのも、自分の意思ではどうにもならないことで、神の采配によるものだと考えていたんですね」

 ちょっと、なるほど、と思った。

 最近そんな、ただひたすらに人を好きになる気持ちからは、離れていたよ。「もう恋なんてしないなんて~♪」、と言ったわけではないけれど。
 おかげで、ただただ相手のことを考えずにいられない、やむにやまれぬ恋心のことを少し思い出した。

 切ない恋に身を焦がす若者はみんな、夜空の星を見上げるがよい。
 そして、叫ぶのだ。なんでわたしに矢なんて当てたのか、クビドーのばかやろー、と。
 それは、無情な神の采配。目に見えない誰かの仕業。その神話は、意外に間違ってないかもしれない。