のんびりライフの鳩日記

日常の、あれこれ感じたことなどをつづります。(不定期更新)

ホリデーシーズン

 今日は仕事休みの日。ペットサロンに犬を預け、シャンプーと歯磨きをお願いしたあと、すぐ隣にあるショッピングセンターのスタバに入る。スタバは、物書きには最適の場所だ。
 他人が読んで面白いと思ってもらえるような文章書きになりたいと思い始めたのは幼少のころだけれど、ある年齢以降は、その書き物の場所といえば、ずっとスタバだった。スタバにも、書き物に適した店舗と、そうでもない店舗があるけれど、最近では近所のショッピングセンターの中にあるスタバが最高だ。天井が高く、広々とした店内は、人で混雑していても落ち着いて画面に集中できる。ここしばらくよく通い詰めているので、とうとうスタバカードなるものを購入した。茶色の背景に描かれたポップなコーヒーカップからは、白い湯気がゆるりと伸びている。
 その柄はそれなりにおしゃれで気に入って買ったつもりだったのだけれど、今日本日、買ったばかりのカードを使おうと勇んでやってきたら、何とレジにはホリデーシーズン限定!との目立つポップ付きでクリスマス限定の新しいデザインのカードが3つも並んでいるではないか。

 薄青いクリスマスツリーが輝くクールなデザインや、緑の帽子をかぶったスノーマンのつぶらな瞳が心和ませてくれるのなど。そのとき、ふと記憶がよみがえってきたのが、先週、私がカードを購入するとき、可愛らしく人の好さそうなお姉さんが言った一言。
 「いま、このデザインしかないのですが、よろしいですか?」
 もしかして、あの一言は、来週、新しいデザインが出ますけど。。。という心の中の声を反映しても野茂だったのだろうか。
 知っていれば言ってくれればいいのに。
 いやでも、この地味なコーヒー色のデザインも、決して悪くないよ。実際、割といい、と思っていたし。と、今の自分の持ち物を肯定してみるのは、きっとやせ我慢。心では、若い女性店員の気の利かなさを軽くののしっている。

 この話に、オチがあるかというと、特にはない。
 水色のツリーや、真っ赤なメリークリスマスのメッセージや、微笑むスノーマンのカードに惹かれる気持ちが渦巻いて、ついもう一つカードを買おうかと考える。カード自体にお金はかからないからとくに損にもならない。けれど、何枚もカードを入れてお財布がこれ以上膨れるのは避けたいし、手持ちのカードで溜め始めたポイントも無駄になってしまう。そんな細かい計算ばかり。ただただ、みみっちい思考が延々渦巻いていたというだけだ。

 もしも、小説ででもあるならば、ここで思い切ってカードを買って、それが縁で素敵な彼と出会えたり(どんな縁だ?)、あるいは夜、夢でカードのクリスマスツリーとスノーマンが出てきて、これまでの善行に報いてくれたり(それだけの善行があるのか?)何かしらの展開が期待できるのだけれど。

 実際のところは、パソコンの前で、あれこれとせこい皮算用をつらつら綴っているあいだに、鼻がムズムズしてきて、店中に響き渡るような大きなくしゃみをしてしまい、慌てて周りをきょろきょろしたけれど、誰も何も気にしてはいなかった。つまり、特に何も起こらないまま、ペットサロンから犬のシャンプーが終わったと連絡がきて、何事もなく店を後にした。

 現実は、かくも退屈で、安定し、そして意外に心やさしい。