のんびりライフの鳩日記

日常の、あれこれ感じたことなどをつづります。(不定期更新)

読書の日(日記3日目)

 youtube動画に影響を受けてエビスバーで食べたデミグラスオムライスが、想像したものと全然違って悲しかったので、今日のお弁当はオムライスを作った。お天気も良いらしいので、洗濯をし、犬の散歩に行き、いそいそと出かけようとしたのだけれど、犬の足ふきタオルを洗いたくなってしまい、追加で洗濯機を回し始めたら、外に出るに出られなくなり、読書を始めた。

 読みかけの本は、多数あるが選んだのは、「センセイの鞄」(川上弘美著)。

 こんな名著を、読んだことがなかったとは!
 とても平易な文章で柔らかい雰囲気が漂いながらも、少し古風で歯ごたえのある言葉選びが本当に良くて、読み始めた時から読み終わるのがもったいなく、少しずつ読み進めてきたのだけれど、月子さんがセンセイに思いのたけを爆発させてしまったあたりから、(いや、その前の高校時代の同級生とのモヤモヤしたやりとりが出てきたあたりからかもしれない)、続きが気になって、一気に読んでしまった。

 この月子さんの、ぼんやりして気が利かなそうな、融通が利かなくてしち面倒くさそうなところが、とても魅力的にうつるのだ。でも実際に、目の前でこういう言動を繰り返されたら、きっと周りの人は引く。実際、月子さんはずっと一人で過ごしてきたらしいし。たぶん、こんな性格で、こんな物言いで、こんな考え方の月子さんは、一般的な趣味嗜好の人と快適に行動を共にすることができずにきたに違いない。

 でも、本の中の月子さんはとても愛らしい。30代半ばを過ぎているのに、全然大人らしいふるまいの考え方もできなくて、センセイとの会話でも、あまのじゃくな反論を試みるか、あいまいな「はぁ」を繰り返すかするばかりの月子さんが、とても魅力的に映るのだ。さらに、そういうところが自分にもあったなぁと感じ、月子さんをわが身に重ねて、可愛い自分という幻想まで見てしまうのだ。
 これは、怖いことである。
 おかげで、そのあと友達から送られてきたLINEの返事に、社交辞令的愛想を振りまくことも忘れ、待ち合わせの時間が早すぎると意義を唱えてしまった。幸いなことに、とても寛容な友人であるからして、快く時間調整に応じてくれたけれど、内心、眉をひそめていたのではなかろうか。ヤクザ映画を観て映画館を出た後、肩で風切って歩いてたら人にぶつかって慌てて謝る、というのにも類似している。

 そんなわけで、本に没頭しすぎると、通常の社会生活に支障をきたすことがあるので、要注意である。

 でも、良かったなぁ。言葉の一つ一つが胸を打つ快楽なのだ。すごく短くてもいいから、こんなお話を書いてみたい。