のんびりライフの鳩日記

日常の、あれこれ感じたことなどをつづります。(不定期更新)

在るのは、ただ拍動するいのち

 今日も日記を書く。とうぜん。日記だから。

 でも、日記らしく短く終わらせられるか心許ない。だって、本日も映画を観ちゃったわけで、しかも、それが、なかなか一言では終わらせられない、いろんなインプレッションを残していく作品だったので。

 とはいえまずは、本日のわたくしの動静。
 今日は、朝9時に家を出て、父が一人で住まう実家に行ってきた。父はすでに立派なお年寄りで、相当ヨボヨボになってきているところにきて、最近、弟が亡くなったので、気を落としていないか心配だったのだ。

 父は9人(か、10人)兄弟がいるのだけれど、この亡くなった弟が一番下で、父は下から2番目と、年が近くて(っても7歳違いだけど)行き来も多く、さらに同じデイサービスに通っていて、とても親しい間柄だった。張り合いがなくなっているんじゃないかな、と気にかかっていたけれど、結果的にそんなに大きな変化はなかった。

 お昼に、いつも買っていく好物のマグロのお寿司とかんぴょう巻きと、加えて、大根の煮物のお惣菜を出したら、すべてぺろりと平らげた。そのあとに、種なし柿も皮をむいてあげたら、それもまるまる1個を一人で食べてしまった。食欲があって何よりでした。

 昼ご飯のあと、家じゅう掃除機をかけ、最後にスーパーでのお買い物を所望された。父は、もう90歳近いのに自分で運転しようとするので、同居している兄夫婦から車のカギを取りあげられている。なので一人で好きに出かけられないから、こうしてたまにスーパーに行って、サンマとか、鮭とか、うるめイワシとか(さかなばっかりや)、大量の梨とか、らっきょとか、好物を好きにショッピングできるのは楽しいのだろう。

 年を取って、身の自由が利かなくなると、できることも、やるべきことも無くっていく。そして、無為に時間を過ごす。そんな父の日々を見てると、こっちは勝手に痛々しい気持ちになってしまうんだけれど、本人はまた、別の感慨を持って毎日を過ごしているのだろうなぁとは思う。

 年をとると、自分にできることが減っていくということを正しく理解し、自覚していく人と、以前と変わらずに色んなことができるはず、と思い込み続けられる人がいる気がする。後者は、たとえ何かがうまくいかなくても、人を使って為そうとする(そして、実際、ちゃんと為す)
 おそらく父は、後者なのだ。そして、母は前者だった。
 父は昔大工だったの人で、若い頃おこなっていたことを、どんなに危なっかしいと言われようが今でも自分でやろうとする。うまくいかないときは、自分の衰えをちゃんと判別したうえで、人にお願いもできる。なので、老いによる制限をあまり感じなくて済んでいるのではなかろうか。

 長生きの秘訣は、老いに無頓着でいることなのかもしれない。
 それはきっと、体の健康度よりもずっと重要なことのような気が、父を見ていると、する。まぁ、長生きする方方が常に正しいわけではないと、私は思うわけですが。

 そして、それが終わったら家に帰り、今日は夕飯に、なんちゃってタコライスを作って食べた。そのお夕飯タイムのご飯の友に選ばれたのが、冒頭で述べた、日記が日記的長さで済まなく済まなくなりそうな映画、『ザリガニが鳴くところ』である。

 ほんとは、たくさん書きたいことがあるんだけど、もう眠くて仕方ないので、備忘録的メモとして少しだけ。

 この映画の舞台のノースキャロライナに1年住んでいたことがあるので、他人事ではなく思い入れを感じながら見てしまった。そして、カイル可哀そうすぎる。こんなに、家族がひとり、また一人と去っていくとか、ある?しかも、いちばん末っ子が残されるってどういうことよ?冷酷すぎるだろ、アメリカ人。
 でも、カイルはまだ子供なのに、一人でムール貝を収穫してお金に換え、生計を立てるのだ。その運命のあまりの過酷さに慄くのなら、同じぐらいの強さで、カイルの生き抜く逞しさにも感動しなきゃいけないと思った。

 (以下、完全ネタバレ)私はずっと、カイルを真に愛しているテイトが犯人だったらどうしようと心配していたので、裁判の評決が出たあとも映画が終わらず、いつどんでん返しが来るか、ハラハラして観ていたのだ。でも、あそこまで引っ張っられると、もう本当に大丈夫かと、安心しちゃった。しかし、それが、そうだったとはね!!
 綺麗に予想を裏切られたのが、とても爽快。
 そして、彼女が生き抜けて良かった。
 この荒々しくも残酷な星においては、生き抜くために犯す罪は、必ずしも罪ではないのだと、確かに思える。映画の中で言われていたのは、生物の生き抜くためのふるまいに、善意も悪意もない、というようなことだったけれど、それでいうなら、生きることが善なわけでもなければ、死ぬことが悪なわけでもないってことになるよね。 

 非常に良くできた話だなーと感心していたら、この原作は1500万部も売り上げた有名な小説なんですね。しかも原作者のディーリア・オーエンズは動物学者で、これが69歳で初めて書いた小説だってどういうこっちゃい。
 にしても、ザリガニってほんとうに鳴くの?ブクブクブクとか言うんじゃないでしょうね。