のんびりライフの鳩日記

日常の、あれこれ感じたことなどをつづります。(不定期更新)

中秋の名月は満月じゃないんだよ

 仕事からの帰り道、電車を降りて駅を出ると、すでに日は暮れ夜になっていた。けれど、雲が遠くでぼうっと白く反射しているのを不思議に思い、ふと空を見上げると、銀貨のようにピカピカに輝くお月様がいた。

 気温が下がり、澄んだ空気のなか、白い微粒子が充満したかのように辺り一帯が明るい。
 はっとして私が思わず空を見上げたように、前を歩いていた人も、ふと気づいたように後ろを振り向きながら、空を見上げていた。


 空に白いお月様。それは、中秋の名月
 なるほど、ススキが恋しくなるわけだ。


 でも、たしか満月はまだ先なんじゃなかったっけ?
 気になって調べてみると案の定、十五夜といっても完全に満ちる一歩手前の月だった。
 「じゅ〜うぅ〜、よ〜んばんめのぉ〜
  つぅきぃ〜が〜 いちばんすきぃ〜」
と、ユーミンも歌っているように、月が完全に満ちる前の、あるいは、満ちたそのすぐ後の月を、日本古来の人々は愛でてきた。

 まぁ、ユーミンは、頂点に達する前をいとおしむ、ということをいいたかったと思うので、ちょっと意味は違うんだけど、でも、日本人の自然への愛し方は、ぴったりの満月にはこだわらないんですね。
 そんなに、きっちりしなくていい。
 “最高”を狙わなくてもいい。
 その前後も十分美しいんだから、
という、ゆるさが古来の知恵であり、優雅な態度なのかもしれません。

 だからたとえば、金メダルも、銀メダルも、どっちもすごい磨き上げた実力の証なのだから、一等賞だけをそんなに持ち上げなくてもいいのかもしれないよ。
 「金」って、つい、なんかすごい、と思っちゃうんだけどね。
 でも、1日ずれても月の見事な輝きに変わりはないように、魂の輝きに優劣はつけられない、のじゃないかと思うんだ。