のんびりライフの鳩日記

日常の、あれこれ感じたことなどをつづります。(不定期更新)

幽霊とともに

東さんのTwitter呟きから
 「青春と恋愛の問題というのは、つまり運命と幽霊の問題なのよね。幽霊(成就しなかった恋)といかに付き合うか、が人生の質を決める。セカイ系とか葉鍵系はそういうこと扱ってから好きだった。」

 そう考えると、私たちは、いつも幽霊(成就しなかった思い)とともに暮らしている。自分はそうじゃない、という人もいるかもしれないけれど、たぶん、多くの人はそう。

 もし、幽霊が身近にいないとすると、意外にもそれは寂しいことかもしれない。
 少なくとも私にとっては、幽霊が心の奥底からも消えたとしたら、あんまり生きる気がしなくなる。おそらく。


 先日、市役所の保険課から、飼い犬の狂犬病予防注射を促すハガキが来た。犬が死亡した場合は、届け出が必要です、と書かれている。知ってはいたが、これまで放っておいた。連絡先があるのを見て、電話してみることにした。そうしたら、この電話で届出に代えることができます、と言われてほっとした。
 鑑札番号、犬の名前、犬種、と淡々としたやり取りが続いたあとに
「無くなったのはいつですか?」と聞かれ、一瞬口ごもる。
「・・・去年の9月、あ、違う。8月29日です」
1年以上たっていることに、担当者は特に何の反応も示さなかった。

 電話を切った後、足元でうろうろしていた、げんを抱きしめながら、私はポタポタと涙を流した。自由を奪われたげんは、身をよじって逃れようとしたけれど、最後には諦めてじっとしていた。


 げんに、「散歩に行くよ」と言っても、彼はきょとんとこちらを見るだけだ。トビーを飼っていたころには、よくサボっていたものだけれど、最近では、よほどのことがない限り散歩は欠かさない。おそらく、私の頭の中では、トビーが身をくねらせるほどにブンブンとしっぽを振っているのだ。いまも。